近江八幡の火祭り

滋賀県のほぼ中央部に位置する近江八幡市域は県内でも比較的早く開けたところであった。そのなかには、人々の営みの表象ともいうべき祭礼・民俗行事が数多く伝承されてきた。それらは、現代を生きる私たちの一年の大きな節目や、生への証ともなっている。
代表的な祭りには、3月の左義長祭と4月の八幡祭(松明祭り)、そして篠田の花火がある。平成4年(1992)には、3つの祭りと各地域で行われる左義長を加え、新たに「近江八幡の火祭り」の名称で、記録作成等の措置を講ずべき無形の文化財として、国の選択を受けることになった。これらの市域の火祭りは、全国的にも特色があり、貴重な祭りであることを物語っているといえる。

左義長祭

近江八幡に春の訪れを告げるお祭りで、織田信長も盛大に行い、自ら華美な衣装で躍り出たと伝えられている。左義長の中心に据え付けられた山車はその年の干支にちなんだ造り物が付けられる。造り物は、黒豆、小豆、胡麻、昆布、するめ、鰹節等を使用し、約2〜3ヶ月を費やして、地域の人々によって作り上げられる。

八幡祭

千数百年の歴史をもち近江八幡市が最も誇る祭礼。毎年曜日に関係なく4月14・15日に開催され、14日は松明への奉火を行う「松明祭り」、15日は大太鼓が宮入りする「太鼓祭り」が行われる。

篠田の花火

全国的にも珍しい火薬を使用する行事がある祭礼。高さ10m、幅22mの大きさの板に毎年違った絵が硫黄を主火薬として描かれる。製作期間は板の乾燥までも含めて約10ヶ月。点火時の激しい「動」から、絵が浮かび上がる数分間の「寂」の世界が人々をひきつける。